2013年12月20日金曜日

メイドの家の家庭訪問

ちょうど金曜の予定が空いたので、メイドに家に招待してよ、と話を持ちかけ、いいよと言われたので、家庭訪問に行ってきました。

大通りから路地を3つ入ったスーパーに近い便利に立地。
小さな排水溝を渡った先のブロックで囲まれた敷地内の日本でいうと長屋のようなところでした。
実質一部屋に4人家族で住んでいました。
入り口の扉を開けるともう室内という簡素な作り、そこにブルーのストライプのカバーが掛けられたベッドがどどーんと置かれ、テレビとDVD、壁にはたくさんのヒンズー教の神々の写真が飾ってありました。ベッドと反対側にクロスのかけられた小さなテーブルがありました。この一部屋は我が家のベッドルームよりも狭いでしょう。

驚いたのは自宅に旦那さまがいらっしゃったこと。後でメイドに理由を尋ねると、歯の治療のために一週間休んでいるとのことでした。業務の合間に1時間だけ抜けて行く日本とはやはり時間の感覚が違います。旦那さんの職業は建築現場作業員だそうです。まともに働いているのか少し不安がよぎります。

というのも、手伝っている学校で聞いた話ですが、土木作業員とメイドという組み合わせは一般的な貧しい家庭の典型で、これで父親が酒におぼれ奥さんに手を出す(DV)というケースが非常に多いのです。

アンデラ・プラデッシュの地方の村から、夫とともに出てきたという彼女。テルグ語が母国語だそうです。結婚したのはなんと15歳のとき。これもインドの地方に多い傾向です。

運転手も加わり、主に彼に通訳してもらいながら会話をして過ごしました。結婚して何年?とかそんな世間話をすると、奥から結婚式の写真を出してきて見せてくれました。写真はどっしりしたアルバムに整然と収められていて彼女の几帳面さが窺えます。また、テレビ台の両サイドにはインテリア用の小さなプラスティックの木がシンメトリーに飾られていました。花の好きな彼女。私はお土産にインドのお菓子と紐状に編まれた花を持参しましたが、彼女はかなりモダンでケーキやボトルの水、お茶を出してくれました。

ティーと言って出されたのは、ユニリーバが展開しているブルーと呼ばれるインスタントコーヒーでした。これはコーヒーだよ、と訂正しましたっけ。

また、実は3回も食中毒になっていて、生ものは基本的に食べないの、と説明してクリームのついたケーキは食べませんでした。

アルバムの中の結婚式の写真を見ると、花嫁の髪飾りがとても特徴的でした。紙で土台を形づくりその上に花をびっしりと縫いつけて髪飾りを作りピンで留めるのだそうです。許可をとりその部分の写真を撮らせてもらいました。村中の人を200人ほど呼んで行われた結婚式だそう。

彼女はとてもあけすけで、家賃は2500ルピーだと言っていました。なんでそんなことを言うのだろうと思ったのですが、それだけの家賃を払わないといけないから、お給料がたくさんほしいというところでしょうか。

ちょうどもう一軒、彼女が働いている家族が海外に異動が決まり、新しい仕事を探しているというので同じアパート内の私の友人を紹介し、1月から働くことがこの日に決まりました。






次のクライアントが私のお陰でスムーズに見つかったので感謝しているのか、とても丁寧にもてなしてくれました。
最初は水、スナックと飴、ケーキ、コーラ、コーヒー、最後はデイツと呼ばれるドライフルーツのようなものまで出てきました。どこかのレストランでデーツケーキとして食べたことがあるものです。
※追記:調べたところデーツはナツメヤシの実でした。

彼女は終始笑顔。学校から帰ってきた子供たちに挨拶をし、少し会話をしました。11歳の男の子。算数が得意だというので、19×19がいくつになるか訊いてみたけど、答えを間違えていました。ダメじゃん。

インドでは日本のように義務教育が無料ではないようです。2時間分しか授業料を払えないので、十分ではないとメイドは話していました。やはり先生の数や予算に対し子供の数が多く、十分な教育設備が整っていないのが現状のようです。

私の他にもマダムが家庭訪問に来たと彼女は話していました。
鳩の集めた釘がほしいと言ったメイドの生活レベルはやはり少し困難そうでした。その様子を確認でき、たいへん貴重な体験でした。

このような環境の中で、多くのメイドが主の物を盗んだりする中、(クレクレタコラではありますが)そういったことをまだ私にしていない彼女を応援する気持ちが少し沸きました。雇用主と労働者という関係上、私的なことは除いてドライかつクリーンな関係を保持することも大切なのでしょうが、そこまできっちり割り切れない自分もいます。

確かに主従関係があるから私が訪ねていっても色々もてなしてくれるのでしょうが、そういった打算だけでなく縁があって知り合ったこの関係を大切にしようという温かい気持ちを感じるのですがそれは私が甘いからなのでしょうか。いずれにせよ、優しさと甘い顔をして付け込まれないようにするドライさの適切な中間地点を見つけることが良い関係の秘訣なのだと感じました。

運転手は次は自分の家に招くと言ってくれました。

たくさんの駐在員がメイドや運転手と揉めている中、私は貧しくても比較的倫理観の高い人間と出会い、本当にラッキーだと思いました。

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