2014年1月19日日曜日

マダムの権威と運転手の苦悩

以前、ベトナム系アメリカ人の知り合いが、運転手の態度が夫と自分に対するのでは違うとこぼしていました。雇い主は彼女の旦那さまですから旦那さんの言うことをよく聞くのは当然ですが、運転手の性格によってはマダムのことを軽視する風潮がインドでは確かにあります。

そういう場合には、マダムが夫に対し影響力があることを示した方が良いと思います。
我が家ではこんなことがありました。
11月に行われるディワリはボーナスの時期でもありますが、そのときに運転手が他の運転手がボーナスでこんなものをもらっていたと私に話したことがありました。これは明らかに僕もボーナス欲しいアピールです。

私は、夫が出すかどうかは確約できないが、私から状況を話しておくと彼に約束しました。結果として夫はボーナスを支給し、私が口添えをしたおかげで運転手はディワリボーナスを得ることができました。その後、とても感謝されたのは言うまでもありません。

会社契約の場合は最初から待遇が決まっているのでこういった交渉はないかもしれませんが、茶番でもいいのでマダムが夫に影響を及ぼしたお陰で彼が得をしたという実績を作ると一目置かれるかもしれません。

そんな彼がある日、私に愚痴をこぼしました。
我が家の運転手は結婚して子供もいますが、両親の生活もサポートしています。元々軍への就職を希望していましたが、身体検査で試験に落ちてしまい、17歳から働き始めました。

建設業など様々な職を経験し、政府の専門学校で縫製工場のミシンを扱う技術を身につけてテイラーとして就職しましたが、給料が上がらないので、その後親戚のおじさんに運転を教えてもらい運転手として働き始めました。

旅行会社で早朝や深夜におよぶ長距離旅行の運転をし、実直な勤務態度が評価されて、車を買う資金を貸してくれる人に出会い、やっと自分の車を持つことができました。自分の車を持って最初の専属運転手の仕事が私のところで、やっと安定した生活になった。この調子の生活が続くと良いと感じているようでした。

しかし、いくら働いても暮らしが楽にならない。自分の家族だけでなく両親も面倒をみて大変だと言うのです。そして、今はいいが私のところの契約が終わったらどうすれば良いのか、ということでした。う~ん、そんなこと言われてもねぇ。

私がしたアドバイスは、
* 親には金がないと言うこと
* 次の仕事ではインフレ率を見込んだ価格交渉をすること
* 英語力とマナーを磨いてVIPの運転手を目指したらどうだろうか

子供をあてにする親というのは甘えていると感じます。また、子供が面倒をみるとそれに拍車がかかる場合もあります。だから、自分も大変だというアピールをした方がいいと感じました。

私たちが帰国し契約終了の際には、次の就職先を紹介することは彼に約束しています。OWC内のネットワークを使って募集をかけることが可能だからです。メイドもそうですが給与の価格設定はインド人よりも外国人の方が高い傾向があります。外国人で個人契約の車付き運転手を探している人に紹介する。その際に価格も交渉させるというのが一般的でしょう。

インドはインフレの渦中にあり、2013年は10%物価上昇しました。10%の昇給を交渉できなければ実質目減りするのです。基本的に価格交渉は転職時が一般的です。一旦給与を決めた後に再度交渉するのは大変だからです。

彼の話を聞いていて思ったのは、彼の言動には少し矛盾が少しあるということ。
自分の生活が十分に賄える給料だけあればいいと言う一方で、もっと余裕がほしいとも思っているということ。

また、彼の言う生活が賄える給料の中に、持ち家を持った場合のローンや急に働けなくなった場合のリスクへの対応などが考慮されていないんです。それはまだ彼が若いからでしょうか。また、自分を大きく評価して大胆に値段交渉するということはしにくい性格のようです。

働いていれば誰でも今の仕事をどう継続していくべきか、より高い給料を得るためにはどうしたら良いか考えます。これは、発展途上国、先進国の区別ないどこに行っても共通の悩みですよね。

私が考える選択肢は主に二つ。運転手を続けるか他の仕事に転職するかです。運転手を続けるなら(そういうのがあるかどうかわかりませんが)今より上のランクの運転手を目指すこと。何か付加価値もしくは差別化を図れば高い価格設定の理由になります。そう考えてVIPの運転手というアドバイスをしてみました。もしくは、自分で事業主になって他の運転手を使ってビジネスするのも考えられます。

企業にたとえるなら、純利益を増やしたいなら売上向上か経費削減。それ以外に道はありません。そして、良いものを提供するためには研究開発費を増やすこと。個人の場合は業界の専門知識の拡充など自己啓発です。
結局は、自分自身が強く賢く世渡り上手になること。それ以外に方法はないような気がします。
頑張れ、運転手!

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