2013年7月23日火曜日

命の光と影

今日はベンソンタウンで行われている英会話クラブにオートリクシャで行きました。というのもドライバーの奥さんが臨月でもうすぐ生まれそうということで休みを取っていたからです。出産というのはタイミングを選べないので仕方がありません。私は子供が生まれたら何をお祝いにしようかと考えていました。

英会話クラブでの今日のテーマはダライ・ラマに関連した「The Art of Happiness」という本についてでした。仏教徒は私を含め日本人数人だけなのに、西洋人やインド人のクラスメートが仏教に関心があることがとても驚きでした。他の宗教のように排他的でなく争いを好まないことが好まれる理由だそうです。

その内容の中に、家族など愛する大切な人を失ったときのために心の準備をしておいた方がいいという話が出ました。私たちは忙しい日常の中では、改めて死について考える場面というのは少ないですが、残された人は悲しみに暮れるだけでなくその人の人生を生きなければならないし、亡くなった人はこの世よりもより良いところへ行くのだから。

言葉ではわかっていても本人になればそれは簡単なことではないと思います。クラスメートは、自分より早く亡くなってしまった子供のことが忘れられず自殺を繰り返した友人の話をしていました。

クラスにいる全員が親や兄弟と遠く離れて生活しており、親を心配している人も多くいました。
私は、もし今親が亡くなったら親孝行を十分にしていない、と伝えたかったのですが、親孝行を辞書で引いても訳語は出てきません。日本独自なのかしら?と思って調べると、「英語・英会話の情報ランド」さんのサイトによると儒教に影響された東洋的な概念だそうです。
親孝行の英語表現についての解説ページ

日本で私の知り合いの出産経験を考えると、早産ならともかくきちんと定期健診を受け臨月まで順調に育って、出産の段になって死産になるということは本当に稀なことなので、まさか身近な人に起こるとは想像していなかったのです。今日、死産だったとの報告を受けました。運転手の奥さんは一度子供を流産したことのある体の弱い方で、奥さんの容体も安定していない状況です。

もし日本のように医療体制の整っている先進国であれば、帝王切開などの対応ができ助かったかもしれません。10か月お腹の中で大切に育てた命が亡くなってしまったと思うと、彼らの悲しみを思うと、私も涙が止まりません。
今はただ、奥さんの容体が早く安定することを祈るばかりです。

これからどんな風に関わっていけばいいのか、少しでも悲しみを和らげたり力になれることがあるのか、人間力の試されるインド生活です。

追記:
出産時の統計は見つからなかったのですが、乳児死亡率の統計がwikiに載っていました
日本と比較するとインドは3倍から6倍の間。これが発展途上国の現実なのです。


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3 件のコメント:

  1. こんばんは、いつも楽しみにしています。

    ドライバーの方の赤ちゃんは残念でしたね。わたしは女性の身体のことについてはよく分からないのですが、ひょっとしてインドの女性は婦人科系の病気を持つ人が割と多いのでは?と勝手に思ったりしています。特に田舎に住む人や貧困層の人など。理由は用を足した後の処理や生理用品の普及の度合い、トイレの未整備など。調子が悪くても婦人科系の医者にあえて診てもらう人も少ないんじゃないかな、とか。

    インドでは女医さんというのはたくさんいるのでしょうかね?また女性の立場からして、できれば内科でも外科でも女医さんに診てもらいたい、という気持ちはあるものでしょうか?

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  2. Michiさんこんばんは!いつもありがとうございます。

    婦人科系の病気はわかりませんが、HIVは多いとネットで見かけました。確かに、生理用品はとても高い値段ですし、トイレは基本的に紙がなく水で流すのですが、その水はきれいじゃないですから、不衛生かもしれません。

    貧困層は病院に行けない人も多いと思います。Nirikshaの子供たちに先生が石鹸で手を洗ったり食後に歯磨きしたりすることの大切さを何度も説いています。親はそういうことを教育しないようです。

    もう少し上のクラスになると病院には行けますが公立なんですね。インドは元社会主義の影響か公務員の汚職や腐敗がひどく、病院の設備や対応は私立の方が圧倒的に良いようです。運転手のところも病院には行けますがアメリカなどからツアーを組むような私立の最先端のところではないです。

    産婦人科は女医さんもいますよ。私立の病院をいくつか見ましたが、プロフィールをネットに公開しているところもあります。

    「内科でも外科でも女医さん」で思い出したのですが、内科の診察を受けたとき、男の先生でしたが胸の聴診器を服の上からあてられました!驚いた!結婚している女性は胸を隠すのがトラディショナルなスタイルなので特別な配慮があるようですから大丈夫だと思います。基本的に先生を指名できるので、女医さんを指名する方もいらっしゃると思いますね。でも、性別より専門分野の実績などが優先される場合の方が多いかと思います。

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  3. kussieさん、返信ありがとうございます。

    インドはメディカルツーリズムで外国人がやってくるほど、質の高い医療がリーズナブルな料金で受けられるそうですが、地元の庶民が受けられる医療はとても貧弱なのですね。

    女医さんが一定の割合でいて、指名できるのだったらいいですね。昔インドを訪れた時に、体調を崩した日本人の女性の旅行者に出会いまして、「女医さんのいるクリニックを知りませんか?」と尋ねられたことがあります。その時、「ああ、女性は医者にかかる時に、相手の性別を気にすることもあるんだなあ」と男の自分はハッとした記憶がありました。

    ビハール州で起きた公立学校給食の農薬混入事件は日本のテレビでも取り上げられまして、インドのニュースサイトでは学校給食の調理環境や衛生状態に疑問を投げかける記事もよく見かけますね。インドの場合、宗教的な意味での「穢れ」に関する感覚が強すぎて、それがバイ菌やウイルスといった西欧的な意味での衛生観念の普及を阻んでいるのではないかな、と思ったりします。以前紹介されていたNirikshea学校は写真を見る限り清潔そうに見えますね。

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